監査手続のいろは「売上・売上債権」

売上と売上債権は表裏一体のため、一般的には同じ担当者が担当します。売上については、一般的には特別に検討を要するリスクがつけられており、監査上で一番重要な科目と言えます。また、不正が起こりやすく、不正が起きた場合に多額になりやすいという特徴があります。

重要な科目ではありますが、売上で、期末に行われる手続きは限られており、リード上の増減分析、得意先ごとの売上レベルでの増減分析、粗利分析などに限定されます。よく、売上の計上基準すらよくわからずに売上の調書を作成している人がいますが、売上計上基準を知らずに売上調書は作成できません。また、会社が複数の形式の事業を営んでいる場合には、それぞれどのような売上計上基準を用いているかを確かめたうえで調書を作成する必要があります。

売上については、非常に多くのバウチングを行う必要があるため、期中の往査において、サンプリングを行い、期末に入る前に、相当程度のバウチングを終わらせておく必要があります。なお、バウチング以外の実証手続きとして分析的実証手続きを行うこともあります。

売上債権については、実在性は確認状の発送により行われます。差異が出ることも多く、適切な差異調整を行うことが求められます。滞留債権の把握や、カットオフの検証のためのバウチング、評価手続きとして、貸倒引当金の計算シートの検証なども重要な手続きとなります。

売上や売上債権は、監査人が実証手続きをかなり厚く行うことが基本的に求められますが、ヒアリングを適切に行うことにより、大きなエラーや不正の兆候を確認することができます。売上や売上債権に関するヒアリングは、監査人として、特に懐疑心を高めて行う必要があります。

私が大手の監査法人にいたころに、売上周りの監査の経験を多く積むことができました。大手の監査法人にいたころはもっと、税金や税効果などをやりたいと思っておりましたが、結果的には、会社の本業である売上周りの監査を多く経験できたことが非常に良かったと思います。税金や税効果は、申告業務や何回か税効果の調書を作ればワンパターンの作業となっていきますので、いつでもできるようになりますが、色々な会社で、本業のお話をいっぱい聞くということは、数多くの会社を担当できる大手の監査法人でしかできなかった経験であると思います。会社の営業方法、管理方法、トラブルにどのように対処するかなど、大手の監査法人が関与する超大手の事業会社の仕組みを知ることができ、これが独立後の大きな経験となって、コンサルティング業務やアドバイザリー業務に活きています。決してテクニカルな科目ではないのですが、会社のコア競争力を学べる売上関係の科目は積極的に経験をすると良いと思います。

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