上場準備(IPO)時のよくある会計処理修正「フリーレント・資産除去債務・税効果会計」

前回、上場準備作業において、よくある会計処理修正で挙げたフリーレントについてですが、日本の基準にフリーレント期間分についても費用を按分表示しろと載っているわけではありません。IFRSの研究報告上で貸主側については、フリーレント期間で収益を按分すべき旨が記載され、基本的には、これを根拠にして借主側の費用計上をフリーレント期間に費用按分するようになっていると思われます。おそらく、期間按分を要するタイプのフリーレントは、賃貸借期間が定められており、この期間の中途で、中途解約した場合でも残りの期間分の賃料の支払いが求められるタイプのフリーレントと思われます。この場合は、既に総支払額が確定しているので、それを賃貸借期間で均等按分して賃料として費用処理することが要請されるという思考になるからです。

次に、上場準備時のよくある修正、資産除去債務(ARO)についてですが、まず、監査法人の監査を受けている会社以外の会社は資産除去債務は計上していないですね!個人的には、資産除去債務ってホントにいるのかなとも思います。はっきりいって、かなり恣意性が介入する余地がありますし、基準上は、色々なケースがマニアックに載っていますが、実務上、基準にあるようなマニアックな処理ってなかなか適用できませんよね。会社によって色々なやり方で計上するのも比較可能性を阻害する要因にもなります。税務しか関係ない会社で、資産除去債務を計上すると、別表4でいたずらに調整項目が生じることになります。そりゃ計上しないよねって感じです。資産除去債務とかフリーレントの期間按分とかいたずらに複雑化する会計処理は、個人的には好きではありません。

そして、税効果会計の不適用ですが、中小企業の場合は、税務に則って会計も処理され、なるべく調整項目が発生しないようになっていることが多く、この点で、税効果会計も適用されていないことがほとんどとなります。会計帳簿には、大きく分けると2つの側面があり、税務申告の基礎となる側面とそれ自体が株主やお金を貸している金融機関、その他利害関係者に会社の業績を公表するという側面があります。中小企業においては、主に税務申告の基礎となるという側面を重視して作成されるため、業績を適切に表示するという観点は、ほぼ無視されます。そのため、税効果会計やその他の複雑な会計処理は無視されます。ちなみに、金融機関は、会社が作成した会計帳簿をそのまま利用するのではなく、自ら必要に応じて適切に組み替えて業績の判断を行うため、借入にあたり、不良債権を費用処理せず貸借対照表にそのまま載せていても、金融機関の組替処理で費用処理されて評価されることになります。