個人事業者への外注の源泉税

個人事業者への源泉税を徴収するかの判断って難しい時がありませんか?
国税のHPを見ると以下のようになります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
1 源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲
源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲は、その報酬・料金等の支払を受ける者が、個人であるか法人であるかによって異なっています。
(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
(2) 報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
馬主である法人に支払う競馬の賞金
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2792.htm
これを読むと、一見、税理士や公認会計士などの士業の方以外に、
ほとんどの個人事業主への外注が源泉不要なように思われますが、
実際には、源泉徴収が必要となる範囲もっと広いです。
上記を国税HPを見ると、実質的な作業内容によって必要な場合と不要な場合がありますが、
単なるプログラマーは不要で、若干高度なら必要という感じで記載があります。
実務上は、先方に嫌がられない限り、グレーな場合は源泉徴収をしてしまう方が安全と思われます。
①個人事業者であるSEやプログラマーへ作業を委託する場合は、
例えば、HPのデザインが関係する作業を行う場合には、
所得税法第204条第1項第1号の「原稿料や講演料等を支払ったとき」に該当すると考えられます。
この場合、納期の特例の対象とはなりません。→預かった月の翌月に毎月納付
②資格の有無は関係なく「高等の専門的応用能力を必要とする事項について計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う人」に該当すると考えられる場合には、資格を有しないで科学技術(人文科学だけを対象とするものを除きます。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除きます。)を行う人に該当し、
所得税法第204条第1項第2号の「弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金」に該当すると考えられます。
この場合、納期の特例の対象となり、預かった源泉税については、7月と1月に半期分をまとめて納付すればよいことになります。
私の推奨案としては、SEやプログラマーについては、
上記②に該当させ、一律に半期納付が実務上簡便かつ安全な方法と思います。
しかし、以下の方法もありえると思われます。
③外注のたびに、上記の判定を行って頂き、毎月納付か半期納付かも厳密に判定して、間違いなく納付する。
→①か②かの判断を誤るリスク、納付時期を誤るリスク、必要な場合に徴収漏れが生じるリスクなどがあります。
また、外注を受ける側が源泉徴収されたりされなかったりで混乱する可能性があり、説明を求められる可能性があります。
①にも②にも該当するような仕事の外注はないとし、源泉は一切行わない。
→本当は必要である源泉が漏れるリスクがあります。また、給与の支払いとして認定され、消費税の申告上の不利益を被る可能性があります。
受け取る個人側の反面調査で税務調査が入るリスクが高くなる可能性があると考えられます。