監査のいろは「サンプリング」

財務諸表監査を行う場合には、サンプリングという概念が非常に重要になります。

監査の手続きの一つに実証手続きという手続きがあります。分析的実証手続きと詳細テストにわかれるのですが、サンプリングの概念が重要になるのは、詳細テストの方の手続きになります。詳細テストって簡単に言うと、会計帳簿に記帳された仕訳について、その金額、計上時期、勘定科目などが適切に記帳されていることを確認するために、何らかの根拠資料と照合するような手続きのことを言います。バウチング=証憑突合とかが主な詳細テストになります。計算チェックとかも詳細テストになるので、分析による手続き以外は、基本的に詳細テストになるんでしょうかね。あまり、学術的な用語と実際の手続きを照らして考えないので、微妙に間違っているかなー。例えば、100円という売上が計上されたときに、発注書や見積書、請求書控え、金融機関の入金情報などと照合する作業を行いますが、これが詳細テストです。

さてさて、そこでサンプリングという概念なのですが、ある母集団、例えば今年1年間の売上という母集団があると仮定します。この1年間の売上という母集団の妥当性を確認するために、詳細テストを行うことになったとします。この場合、1年間の売上が飲食店などであれば、何百件、何千件という小さな売上の集合体となっています。この時に、何千、何万という売上について、すべて証憑突合を行うことを精査と言い、一部について証憑突合を実施することを試査と言います。財務諸表の監査においては、すべての突合を行うことは実質的に不可能であることから試査が前提とされておりますが、ここで、どれについて突合を実施するか選ぶことをサンプリングと言います。

さて、試査にはには大きく分けて2種類の種類があり、一部の項目に対して監査手続を実 施した結果をもって母集団全体の一定の特性を評価する目的を持つサンプリングによる試査と、母集団全体の特性を評価する目的を持たない特定項目抽出による試査があり、母集団全体の特性に依拠してサンプルを抽出する手法を用いる時に、サンプリングという概念が非常に重要になります。一般的な方法としては、母集団の特性を評価するわけですから、何か先入観を持って抽出することは行わず、機械的にランダムに選ぶ必要があります。

そこで、最も一般的な方法は、金額単位サンプリングと言って、母集団全体を一定の金額をサンプリングの間隔として設定し、一定の金額単位で自動的にサンプルを選ぶ手法を取ることが多いです。例えば年間の売上が1万円で、監査上の重要性=これ以上多額のミスがあると監査の意見表明に影響を及ぼすような金額が100円だとすると、1万円÷100円で100件のサンプルを見れば、100円をサンプリング間隔としているため、100円以上のエラーが発生する可能性は理論的にはないということになります。また、1件で1,000円の売上があれば、サンプル件数は少なくなりますが、100円以上のサンプルは必ず抽出されているため、100円を超えるエラーはやはり監査ミスがなければ必ず検出されるということになります。Excelで母集団がある場合には、関数を組んである程度自動でサンプリングを行えますが、紙でしか母集団がない場合には件数を抽出して、そこからは適当に選ぶ方法になるのが現実的でしょうか。