ふるさと納税の節税効果を有する上限額

住民税の金額の決定と徴収
住民税は前年度の給与収入(1月~12月分)等=前年度の所得について、翌年度に課税(税金の徴収)が行われます。そのため、毎月の給与所得から控除する特別徴収税額(毎年の6月~5月徴収分)は、前年の1月~12月の報酬に基づいて市区町村によって計算し決定されます。具体的には、住民税の金額の計算は、給与支払報告書(源泉徴収票と同じ情報が記載)という資料を会社が市区町村に提出することにより、これに基づいて、市区町村が計算し金額が決定されます。
ふるさと納税の節税効果と返礼品
限度額までのふるさと納税の寄付については、支払う必要のある税金の代わりに寄付をすることにより、総務省の指導に従っている自治体であれば、寄付額の3割を上限とするお礼の品物が貰えるイメージとなります。限度額を超えた部分は通常の寄付に対して返礼があるということになり、税金を節税する効果はありません。つまり、寄付金を支払って返礼品を購買しているというイメージです。
住民税決定通知書上でわかる節税金額
なお、住民税決定通知書上、ふるさと納税による住民税の控除額がどこに記載されているかというと、⑤(2箇所)の税額控除部分に記載されています。
節税となる寄付上限金額の算定と返礼品の税務上の取り扱い
ふるさと納税の2,000円の寄付のみとなる限度額の算定ですが、給与所得だけ発生する方の場合には容易に算定できますが、その他の所得があり確定申告をされる方の場合、事前に厳密に金額を算定することはなかなか難しいです。ふるさと納税に係る控除額(節税上限額)は以下の算式の3つの項目で成り立っています。
ふるさと納税の控除額=所得税分の控除額(所得控除)+住民税基本分の控除額(税額控除)+住民税特例分の控除額(税額控除)
所得税上は、税率を乗じる前の所得から控除するので減税効果は住民税に比べると小さくなりますが、住民税については、税率を乗じた後の税額を直接控除するため、節税効果が大きくなっています。
項目ごとの限度額
・所得税からの控除限度額=所得税の総所得の40%以下
・住民税基本分からの控除限度額=総所得の30%以下
・住民税特例分からの控除限度額=個人住民税所得割額の20%
項目毎の控除限度額は上記のように決まっていて、1つでも当てはまればその金額が限度額の基準となります(つまり、所得税分の控除額が総所得の40%に達していなくても、住民税特例分からの控除額が個人住民税所得割額の20%を超えた場合、自己負担が増えてしまいます)。実質的には、住民税の特例分が主な控除項目となり、個人住民税所得割額の20%という値が、限度額を計算する際の基準となります。
上記を踏まえ、ふるさと納税の控除限度額を求めようとすると、以下の式が成り立ちます。住民税特例分の控除【(ふるさと納税額-2000)×(100%-10%-所得税率×復興税率)】<個人住民税所得割額×20%
つまり、ふるさと納税額が【(個人住民税所得割額×20%)÷(100%-基本分10%-所得税率×復興税率1.021)+自己負担2,000円】を下回る場合において、全額控除を受けられるということになります(自己負担約2,000円分は除く)。
なお、50万円を超える価値の返礼品につきましては、一時所得として課税されることになります。一時所得とする金額としては、個々に金額の算定は難しいので、寄付金額の30%とすれば保守的な金額となり調査等で指摘されることはないように思います。